2025年7月31日
提案内容は気に入ってもらえたのになぜ失注した?順調に話が進んでいたのになぜ突如、音信普通になった?!ーーこの答えを知るには、BtoBビジネスは受注に至るまでに、多くの変数が存在することを理解する必要があります。

目次
成果に影響する「変数」とは?
ビジネスにおける変数とは、成果に影響を与える不確定要素のことです。「コントロールできるもの」と「できないもの」があり、自社側の変数は比較的コントロールしやすいですが、顧客側の変数のコントロールは当然ながら、ほぼ不可能です。
自社側の変数例
まずは、自社側の変数の例を見ていきましょう。
【例】セールスパーソンの営業スキル 同じ会社・部署に所属していて、同じ製品・サービスを売っているのに、営業成績が良い人もいれば、悪い人もいます。それはセールスパーソン個々のトークスキル、クロージングスキルなどに差があるからです。昭和の根性論のようですが、セールスパーソン本人の人間性やキャラクター、仕事に対する姿勢も、受注率に大きく影響します(ただし営業フローを自動化させ、個々の営業スキルに依存することなく、コンスタントに受注できる仕組みをつくっている場合はその限りではない)。
【例】製品・サービスが顧客ニーズに合っているか 素晴らしい製品・サービスでも、市場に投入したら「あれ…思っていたより反応が薄い…?」「売れ行き、芳しくない気が…」という現象は、往往にあります。その場合、おおざっぱな分類ですが「そもそもニーズがなかった」or「まだあまり知られてないだけ」のいずれかになります。後者の場合、広報や広告宣伝の強化・営業人員の投入など解決策は色々ありますが、前者の場合、事業継続の判断やピボットが必要です。
【例】提供価格 市場相場からかけ離れた価格ではないか?仮に市場相場からかけ離れた高い価格で提供している場合、その価格に見合う製品・サービスを提供できているか(費用対効果)?そもそも顧客ニーズを満たしている製品・サービスでも費用対効果に納得してもらえなければ、受注には至りません。価格がネックで失注が続く場合は、原価を抑える工夫を行うなどして、価格をおさえるための企業努力が必要です(あるいは、付加価値を向上することで、費用対効果に満足してもらえるようにする方法もあり)。
顧客側の変数例
一方で、相手企業側にも多くの変数が存在します。
【例】経営状況やタイミング 顧客側が赤字決算の直後であったり、リストラを断行している最中などは無論コントロールは不可能です。
【例】担当者の考え方やモチベーション 仕事に対するモチベーションが高く、常にPDCAや新しい挑戦に意欲的な担当者もいれば、「自分の業務だけで手一杯なのに、これ以上面倒な作業は勘弁してくれ‼」という担当者もいます。中には「暇だから時間つぶしのために、話を聞いてみるか」程度で商談に臨む担当者も…。担当者の温度感ひとつでも、結果は大きく左右されます。
【例】担当者の異動・離任・社内政治 「もう少しで決まりそうだったのに…」というタイミングで、突然の担当者の人事異動。積み上げてきた関係性や商談が一気にリセットされるだけでなく、「君がウチの前任者と話を進めてくれてた人だよね。ごめんねぇ。もうウチに営業しなくていいよ。僕のお気にいりの会社があってさ。そこにお願いしようと思ってるから」なんてこともザラです。また後任の担当者は、前任の担当者の方針や考え方を(社内政治などの関係から)毛嫌いしているといった、個人的な感情から事業方針を180度転換するケースもあります。合理的な意思決定がなされるはずのBtoBの世界でも、案外と担当者の感情が大きく影響することもしばしばあります。
【例】決裁金額と社内フロー 少額なら即決されやすいですが、数百万、数千万円、数億円~の単位になれば意思決定者が複数人存在し、稟議フローが長期化します。中には検討期間が長期化しすぎて風化し忘れ去られていた、なんてことも。また部長クラスで1000万円の決裁権を持たせている中企業もあれば、わずか20万円を超える製品・サービスで、社長決裁になる大手上場企業も存在します。また4000万円を超える場合は、稟議フローに5人が関与する企業もあります(当社woman'sが数年前に実施した、法人向けアンケート結果より)。決裁権を誰がどれくらい持ってるか?何人が関与するか?など、意思決定のための社内フローは各社で全く異なります。社外からは分からない上に、コントロールのしようがないため、対策を打つのは容易ではありません。
【例】担当者の知識や過去の経験値 担当者が、業界やソリューションに詳しいかどうかも話の通じやすさや社内展開力に影響します。また担当者個人の過去の経験も影響します。決裁権を持った担当者が過去に「(たとえば)展示会に出展したけど成果が出なかった」という経験を持っていたとします。その担当者に対して「ウチが主催する展示会は、他社が主催する展示会とは違って、商談獲得率が高いんですよ!」と説明しても、耳を傾けてもらえないでしょう。当社woman'sが、展示会の企画・運営を行っていたとき、出展社集めを行っていたのですが、ある商談中の企業からはこのように言われました。「私たちは出展したいんですけどね…。上司が自社ブースに3日間立たなきゃいけないことを、嫌がってるんですよ。ウチは展示会出展する場合は、その部署全員がブースに立つことが決まりなので、出展するとなれば上司も3日間、立つのがマス トなんです。上司は『展示会で3日間も立たつなんて、無理無理。去年それで参ったから』の一点張りで。そんなこんなで出展はできません。ごめんなさい」。いち個人の「3日間も立つのが嫌だ!」という好き嫌いで決めちゃうのか?と驚きましたが、個人の経験値やそれに付随する感情も影響することを痛感した出来事でした。
成果は変数との「付き合い方」で決まる
他にも変数は沢山あります。どれも成果に大きく影響するにも関わらず、自社で解決・コントロールできないことの方が多いんですよね。とはいえ変数とうまく付き合っていきながら、継続的に受注しなければならないーー。どうすれば良いのか?以下3つの考え方を参考にしてみてください。
1. リードの母数は増やし続ける
BtoBの商取引は、確率勝負の世界でもあります。良質なリードを多く持っておくことで「たまたまタイミングが悪かった」「担当者が異動してしまった」という不運に振り回されることなく、別のチャンスを常に掴めるようにしておきましょう(詳細:リード獲得後、どう商談に繋げる?基本のマーケティング設計)。
2. 継続的なナーチャリング
貴社の製品・サービスが今は必要なくても半年後、1年後、2年後に必要になる企業はいます。ですからリードを育て続けること(ナーチャリング)、そして信頼関係を少しずつ構築することが、将来の受注につながります(詳細:商談に進むためには「ナーチャリング」が必須)。
「リードを獲得して無事商談に進めたけど、断られた…」と嘆き、せっかく入手したリードをあっさりと手放す企業は少なくないですが、そのような考え方では1年後も3年後も、今と同じく「今すぐ客」の獲得に躍起になり続ける日々のままです。「今すぐ客」を追いかけつつも、「将来の見込み客」も同時に育てていく。その積み重ねの先に「年間通してコンスタントに受注できる」フェーズへ移行できます。
今すぐ受注が欲しい企業にとってはもどかしいと思いますが、コンスタントに案件を受注している企業ほど、実はナーチャリングをコツコツ続けています。ナーチャリングは腰を据えて行いましょう。「ある企業に対して1回目と2回目の提案は断られたが、時期をあけて再度提案したら受注できた」というのは当社含め、多くの企業のアルアルです。たった1回失注しただけで諦めるのは大変もったいないことです。
3. 第一想起を獲得するために、継続的な情報発信を
「困ったときに思い出してもらえる存在」になれば、コンスタントに問合せや相談を獲得できるようになります。オウンドメディアによる継続的なコンテンツ発信やSNS、メルマガなどを通じて接点を絶やさず「第一想起・純粋想起されるブランド」であり続けることが、変数の中で生き残る大きな力になります。
当社woman'sがクライアント企業の、BtoBプロモーション施策をお手伝いさせていただく際、3つのセオリーを大事にしているのですが、そのうちの1つが「継続的なプロモーションを行いながら、同時に業界内ブランディングも確立させて、第一想起獲得へつなげていくこと」です。業界内ブランディングの構築は一朝一夕で出来上がるものではなく、ある程度の期間が必要ですが、業界内ブランディングが確立されているかどうかは、思う以上に受注数に大きく影響します。
BtoB取引では、多くの変数が同時に動くからこそ…
BtoB取引では、多くの変数が同時に動いており、そのほとんどは自分たちの力ではコントロールができません。だからこそリードを増やし、ナーチャリングし、継続的に自社の情報を発信し続け、業界内ブランディングを構築していくことが、「変数を乗り越える力」になります。一度の受注・失注に一喜一憂せず、リードの母数を増やしながら、チャンスが巡ってきたときに必ず、そのチャンス掴める状態を日々整えていきましょう!

